でんきのあれこれ

電気の専門用語

絶縁用保護具

(1)目的

高圧活線作業や高圧活線近接作業を実施する際に、万一充電部に触れても、人体に電流が流れないよう保護する装備として「絶縁用保護具」があります。
「絶縁用保護具」とは、電気用ゴム手袋、電気用保護帽などのように充電電路の取扱い、その他電気工事の作業を行うときに、作業者の身体に着用する感電防止のための保護具のことです。

(2)絶縁用保護具の種類及び使用方法

充電されている電路の点検、修理などの電気工事を行うため、直接電路に接触したり、近接する場合は、感電を防止するために、絶縁用保護具を着用する必要があります。
代表的な絶縁用保護具としては、電気用保護帽、電気用ゴム手袋、電気用長靴、電気用絶縁衣などがあります。
使用にあたっては注意事項を守り、適正に着用することが重要です。


電気用保護帽
 

電気用ゴム手袋
(右手:保護用手袋の使用例)

電気用長靴
 

電気用絶縁衣
 

(3)使用目的、使用範囲及び使用上の注意事項

品名 使用目的 使用範囲 使用上の注意事項
電気用
保護帽
主として頭部を感電、機械的衝撃から守るために使用する 充電部に頭部が近接して行なう場合
使用の前に損傷の有無を点検する
あごひもは完全にしめて使用する
電気用
ゴム手袋
作業中、手の部分からの感電防止に使用する
活線作業及び充電部に近接して作業を行う場合
雨中の屋外において充電されている開閉器などを操作する場合
検電、測定、検相、高圧カットアウト操作などを行う場合
ジェットノズルなどを使用しての活線洗浄を行う場合
配電室等において、機器の操作、短絡接地などの作業を行う場合において電撃の危険が予想される場合
使用の前に空気テストを確実に行う等により、損傷の有無を点検する
袖口を折り曲げて使用しない
運搬にあたっては損傷を防止するため、材料や工具の下積みにならないようにする
機械的損傷を防止するために、電気用ゴム手袋の上に保護用の手袋を使用する
電気用
長靴
作業中、足裏が通電経路にならないために使用する 電気用ゴム手袋に準ずる
使用の前に損傷の有無を点検する
その他は電気用ゴム手袋に準ずる
電気用
絶縁衣
作業中、腕および肩からの感電を防止するために使用する
上記の他、背中からの感電を防止するために使用する
活線作業を行う場合
建築又は樹木支障など、その他必要に応じて高圧線を防護する場合
充電部に近接して作業を行う際、危険と思われる場合
使用の前に損傷の有無を点検する
着用した場合、胸部付近が凸部とならないようにする
袖口は折り曲げずゴム手袋の袖口と重ねる
火気で乾かしてはならない
電線などの端末で損傷しないように十分注意する
運搬にあたっては材料などの下積みにならないようにする


絶縁抵抗計

(1)目的

電気設備の機器や配線は、絶縁物で電気的に絶縁されています。もし、この絶縁が悪くなれば、漏れ電流が流れて感電や電気火災の危険が発生します。また、絶縁破壊によって電動機や照明器具などの故障や、通信回線等に誘導障害を生じさせることもあります。

そのため、電気設備の絶縁が良好な状態で維持されているかを測定することが必要であり、その際に用いられるものが絶縁抵抗計です。絶縁物に直流電圧を印加しそのときに流れる微小な電流を検出し絶縁抵抗値として表示します。絶縁抵抗計には測定電圧によって計測器が異なりますので、的確な機種の選定と正しい使用方法が重要です。

【絶縁抵抗計の主な使用例(JIS C 1302-2018解説)】

定格測定電圧 使用例 測定器種別
25V/50V 電話回線用機器、電話回線電路の絶縁測定 絶縁抵抗計
100V/125V 100V系の低電圧配電路及び機器の維持・管理 絶縁抵抗計
制御機器の絶縁測定
250V 200V系の低圧電路及び機器の維持・管理 絶縁抵抗計
500V 600V以下の低電圧配電路及び機器の維持・管理 絶縁抵抗計
600V以下の低電圧配電路の竣工時の検査
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡する方法)
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡しない方法) PV絶縁抵抗計
1000V 600Vを超える回路及び機器の絶縁測定 絶縁抵抗計
常時使用電圧の高い高電圧設備(例えば,高圧ケーブル,高電圧機器,高電圧を用いる通信機器及び電路)の絶縁測定
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡する方法)
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡しない方法) PV絶縁抵抗計

低圧絶縁抵抗計
(125V/250V/500V切替)

低圧絶縁抵抗測定(例)
 

高圧絶縁抵抗計
(1,000V/5,000V切替)

高圧絶縁抵抗測定(例)
 

(2)測定時の注意点

絶縁抵抗計は、回路が充電状態ではできないので必ず停電させてから測定します。
インバータの制御回路や電話交換機などのように、半導体素子を使用している電子回路に直接測定電圧を印加すると、それらの機器を損傷させる恐れがあります。その場合は、事前に半導体素子を含む電子回路を切り離してから測定します。
絶縁抵抗値は、測定時の天候や温度、湿度、汚損度により大きく左右されるので、それらを考慮した適否の判断が必要です。
絶縁抵抗計を保管する場合は、高温、多湿、振動の激しい場所は避けて保管します。
定期的に(6ヶ月に1回程度)絶縁抵抗計の校正を実施し、精度の確認を行います。

【低圧回路の判定基準(電気設備技術基準第58条)】

電路の使用電圧の区分 絶縁抵抗値
300V以下 対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧)が150V以下の場合 0.1MΩ以上
その他の場合 0.2MΩ以上
300Vを超えるもの 0.4MΩ以上

【高圧回路の判定基準目安】

a.高圧機器(一括測定時の参考値)
・6kⅤ回路  6MΩ(雨天時1MΩ)(測定電圧6.6kⅤは5,000V)
・3kⅤ回路  3MΩ(雨天時1MΩ)(測定電圧3.3kⅤは1,000V)
b.高圧ケーブル(5,000V印加の参考値 高圧受電設備規程抜粋)

ケーブル部位 測定電圧 絶縁抵抗値 判定
絶縁体(RC) 5,000V 5,000MΩ以上
500 ~ 5,000MΩ未満 要注意
500MΩ未満 不良
シース(RS) 500Vまたは250V 1MΩ以上
1MΩ未満 不良

クランプ式電流計(クランプメータ)

(1)概要

電気設備の運転状況を把握するためには、電路や電気機器に流れている電流の欠かせません。 

また、電気事故の防止のためには、漏れ電流の測定も必要になります。

  本来、電流の測定は電流計を回路に直列接続する必要があり、回路の切離し作業などがあって非常に手間がかかる

作業となります。それに対して、回路の切離しを行なわず、測定したい電線を挟み込むだけで電流の測定を行なうことが

出来る測定器がクランプ式電流計(クランプメータ)です。                    

                                                                                                                                                                                                                                                    

左:クランプメータ(一般用)、 右:クランプメータ(大口径用)

 

(2)測定方法                              

①負荷電流

負荷電流を測定する場合は、測定したい電線1本(相)のみをクランプ部で挟み込むことで、挟んだ電線に流れている

負荷電流が測定できます。

 

   負荷伝絵流の測定原理      負荷電流の測定状況        

 

②漏れ電流測定

 漏れ電流を測定する場合は、電線を一括で挟み込むことで負荷電流が互いに打ち消され、漏れ電流だけを

測定することができます。

なお、測定回路が単相回路の場合は電線2本を一括に、三相回路の場合は電線3本を一括挟み込むと測定で

きます(a,b)。また、単相もしくは三相変圧器の2次側に施されているB主接地線を挟み込むことで変圧器から供給され

ているB主接地線を挟み込むことで変圧器から供給されている負荷設備全体の漏れ電流が測定できます。(c)。

 

 

 

 

 

漏れ電流の測定原理(三相回路の場合)

 

 

 

 

 

 

 

 

三相回路一括による漏れ電流測定状況             B種接地線による漏れ電流測定状況 

 

 

 

 

 

検電器

(1)目的

電気設備を停電して作業を行なう際は、作業前に必ず作業箇所が停電していることを確認し、感電事故防止に努めなければなりません。停電作業を行なう上で、電路や機器に電気が通電している状態なのか、あるいは停電している状態なのかを確認する安全作業用具が検電器です。このように検電器は、作業者の安全を守るために欠くことのできない重要な用具です。

(2)種類

検電器は、検電する回路の電圧の大きさによって、低圧用、高低圧両用、高圧用、特別高圧用とあり、また、電圧の種類によって、交流用、直流用、交直両用に分けられます。電気設備の電圧の大きさや種類に応じて、正しい機種を選定することが必要です。

 

 

 

 

 

 

 (メーカーにより仕様は多少異なります)

(3)使用方法

  ① 検電器を使用する際は、対象となる電気設備の電圧の大きさ・種類に適合している機種を選定します。

  ② 使用前には、テストボタンや検電器チェッカー等により検電器が正常に動作することを確認します。

  ③ 検電する際は、必ず決められている位置をしっかりと握って行ないます。握り方が浅いと、検電器の感度が鈍くな           り誤検電となる恐れがあります。

  ④ 高圧電気設備を検電する場合において、充電部から60㎝以内に近づいて行なう必要がある場合は、安全確保の ために高圧絶縁ゴム手袋の着用が義務付けられています。(労働安全衛生規則第324条)

  ⑤ 万が一、電気設備(開閉器等)の機構不良等により完全に電路から開放されていない場合も想定されるため、検 電を行なう際は、1相(1箇所)のみの確認ではなく、全ての相(全箇所)の検電を行ない、停電状態であることを確認します。

 

常時監視システム

 保安管理業務における電気事故のなかで、特に発生ひん度の高い低圧電路の絶縁劣化による事故を未然に防止するため、低圧配線や電気機器の絶縁状況を常時監視する装置です。異常発生の際はその状況を双方向通信が可能な通信方式を利用して、協会の受信装置に伝送することにより、お客さまの手を煩わすことなく迅速な対応が図れるものです。また、保安管理業務の絶縁監視のみではなく、オプションで各種接点の入出力信号やアナログ信号の入力が可能なため、お客さまのニ-ズにあったご利用も可能です。