電圧と起電力のおはなし
電位と電圧
電気の流れをよく水の流れにたとえます。どこにでもある川の流れを考えてみましょう。
川の水は上流より下流に流れることは誰もが知っていることです。上流つまり高い位置にある水は、低い位置にある水よりも位置のエネルギーが大きいため水位の高い上流より水位の低い下流に向かって水が流れるということです。
電 気の流れである電流も、全くこれと同じで水位に相当するのが電位であって第1図のようにA、B両帯電体の間に電位の差があれば、これを電線でつなぐと、電 流は電位の高い正の帯電体Aから電位の低い負の帯電体Bの方に流れます。この正の帯電体Aと負の帯電体Bとの間にある電位の差、つまり電位差を電圧といい ます。すなわち電気の圧力により、物質をかたちづくる原子内の自由電子が移動し電流が流れます。この電流を流そうとする電気の圧力が電圧ともいえます。
電圧の単位
電圧とは2点間の電位差をいい、電圧を測る単位としては“ボルト”(記号Ⅴ)が用いられます。そして1クーロンの電気の量が2点間を移動して、1ジュールの仕事をするとき第2図のように、この2点間の電圧を1ボルトといいます。
富士山の高さは海抜3,776mであるといわれております。
これは海面から測って、このような高さがあるということです。
このように高さを測るには基準をまず定め、そこから長さの単位を用いて測ります。
電位もまったく、これと同様で、ある基準を定めなくてはなりません。
その基準として地球つまり大地を用います。この大地を零ボルトとして、この大地との電位の差を、一般に電圧といっております。たとえば100ボルトとは大地つまりアース(接地)に対して100ボルトの電位差があるということです
起電力
乾電池の陽極(十)と陰極(-)の間に豆電球をつなぐと電流はいつまでも流れつづけます。
それは乾電池の(+)極と(-)極の間の電位差(電圧)は電流が流れていても、なくならないからです。
これは電気が電流によって運び去られて中和されても、乾電池内部の化学作用によって新しく補充されて電圧を消滅させずに維持しようとする働きが乾電池にあるからです。
このように電流を流し続けようとする働きを「起電カ」といいます。
乾電池はその内部の物質中に保有されている化学エネルギーとして、電気をたくわえておき必要なときにそれを取り出すようにした“電気の缶詰”といえます。