感電のおはなし
- 感電とは、人体内に電流が流れてショックを受けることです。(電圧がかかっても、電流が流れなければ感電しません)
- 感電の形態は次のとおりです。
①電圧がかかっている2線間に同時に触れ、短絡(ショート)電流が人体を流れる。
この例は多くありません。
②電圧がかかっている電線や機器に触れ、電流が人体を通って大地(アース)に流れる。
感電事故の殆どがこの例です。
③漏電している部分に触れ、電流が身体を通って大地(アース)に流れる。
この例は、その状態が目でみても分かりませんし、また、だれでも触れる機会が多いので危険です。
(鳥のように、1本の高圧線に両足を乗せても、大地に触れていなければ感電しません。もし足の長い鳥が、被覆のない2線間にまたがって足を乗せたら感電してしまいます。)
- 感電の影響の大きさは、「流れた電流の大きさ」、「流れた時間」、「流れた経路(人体の部位)」によって変わりますが、電流の大きさによる症状はおよそ次のとおりです。
1mA:感じる程度
5mA:痛みを覚える
10mA:我慢できない
20mA:痙攣、動けない
50mA:非常に危険
100mA:致命的 - では、感電するとどの程度の電流が流れるでしょうか。条件によって千差万別ですが、およその計算をしてみましょう。
電流が入る部分の皮膚抵抗が約2500Ω、血液、内臓、筋肉などの体内抵抗が約1000Ω、はき物と足場と地面との抵抗が(これは、足場の条件により大きくかわりますが)普通約2000Ωとすると、全部で約5500Ω。
低圧の100Vを使っている場合、
100V÷5500Ω=0.018A(18mA)となります。 - 屋内では、床材や敷物などの抵抗が加わりますから、流れる電流はもっと少なくなるでしょう。
- また、手が濡れている場合は、人体の抵抗がおよそ半分以下になりますので、電流は多くなるでしょう。
- 15年度に道内では負傷に至った感電事故が10件ありました。殆どが高圧(66千V)設備の保守作業の際に起きています。
- 日常、特段の危険を感じないで使っている100Vの電圧でも、感電するとその時の条件によっては大きな電流が流れ、死亡することもあります。日本で過去に35Vで死亡した例があります。
- およそ20V以上のものについては、バカにせずに注意して取り扱うのがよいでしょう。
世界では、安全電圧基準を定めてる国がありますが、20V~36Vの範囲に入っています。 - さてこれら感電の防止対策です。
○常に絶縁をよくしておくこと、破損したところはすぐに修理または交換すること。
○濡らさないこと、湿ったところで使わないこと。
○有効なアースと、漏電ブレーカーを取付けること。
○保守、点検作業の際は、安全帽や防具を用い、手順を踏んで、確認また確認をおこなうこと。
ポイント
大地(地球)は導体
銅、アルミニウム、鉄などの金属は電気を大変よく通す良導体です。
反対に、陶磁器、ゴム、プラスチック、空気などは、電気を通さない絶縁体です。
大地(地球)は、金属ほどではありませんが、電気を通します。いわば、大きな電線と考えてもよいでしょう。
農場などで、シカやクマの侵入防止の電気柵があります。
これは、地上に張り巡らせた電線に電源のプラス極をつなぎ、マイナス極を地中にアースして(いわばマイナス側の電線につなぎ)電圧をかけておきます。
シカが寄ってきて鼻先を地上の電線に触れると大地と回路がつながり、感電ショックを受けて逃げます。
(電圧は数千Vですが、電流が微弱で瞬間的なショックになるよう作られているので、ケガはしません)