電流のおはなし
電気とは?
電気そのものは目に見えません。しかし電気には(+)と(-)があることは、どなたも知っていることです。電卓に乾電池を入れるとき、また時計やカメラに電池を入れるとき必ず電池の入れ方が書いてあります。
この(+)と(-)を簡単に実験してみたいと思います。
第1図のように絹の布で乾いたガラス棒をこすってみます。
そうすると小さな紙片をチョイと吸い付けます。これはガラス棒に電気が生じた事によるものです。このことをガラス棒は「帯電」したといい、ガラス棒に付着している電気を「電荷」と呼びます。
ガラス棒は(+)に帯電し、エボナイト棒を毛皮でこすると(-)に帯電する性質をもっております。
また(+)と(+)、(-)と(-)を近づけると反発し、(+)と(-)を近づけると吸引します。このような電気を静電気といいます。さて物をこすると、電気が生じますが一体この電気はどこから生まれるのか、もう少し詳しく調べてみます。
“電気”と“電子”
物質はすべて原子といわれるごく小さな粒からできており、これをアトム(atom)といいます。ギリシャ語ではこれ以上分割できないという意味です。
しかしながら原子の研究が進むにつれて第2図のように原子は原子核と電子より構成されており、原子核は陽子と中性子よりなっていることがわかったのです。
そこで(+)の電気をもった陽子と(-)の電気をもった電子が同数であれば(+)(-)が打ち消しあって外部には出ません。
ところが第3図のように軌道から電子が飛び出すと(+)電気をもつ性質となり、また反対に電子が軌道に飛び込んで〈ると(-)電気の性質をもつようになります。
この飛び出したり、飛び込んだりする電子を自由電子と呼びます。
つまり一般的に物質の中性状態から電子が不足すれば正(+)に帯電し、電子が過剰になれば負(-)に帯電するといいます。
電流のしくみ
正の電気をもったAと負の電気をもったBを1本の鋼線でつないでみます。すると第4図のようにBの(-)は銅線を通ってAに流れ込みます。つまり正に帯電していれば(-)が不足している状態なのでBより自由電子の(-)がAの不足電子を補うため、いっせいに流れ出します。
この自由電子の流れを電流といいます。水の流れにも方向があるように電気の流れにも方向があります。
電流の流れの方向は電子の流れと反対方向をいいます。これは電気の研究を始めた昔、まだ電子が発見されていないときに正電気の流れる方向を電流の方向と定めたからです。
今考えると逆のわけですが、これは別に不都合がないので、現在も電子の流れとは逆の方向を電流の方向としております。
電流とは電子の流れですから1秒間にどれだけその部分を通るかで電流の大きさを表わします。
電気の量を測る単位をクーロンといい、1秒間に通過する電気の 量を電流の単位としてこれをアンペア(記号A)といいます。第5図のようにある電線の切り口を1秒間に1クーロンの電流の量が通ると、これを1Aの電流が 流れたといいます。
また、金属のように電気の通りやすい物質を導体といい、ゴムやビニルなどのように電気の通りにくい物質を絶縁物といいます。
たとえば、家庭電気器具によく用いられているビニルコードは、導体である銅線に電流が流れ、この銅線だけでは、感電や短絡事故をおこすので外側を絶縁物であるビニルで覆ってあります。