電気事故
電気事故報告について
電気事業法に基づき制定された電気関係報告規則では、電気事故が発生した場合、速やかに所轄する産業保安監督部長へ報告することが義務付けられています。
具体的には、次のように規定されています。(需要設備に関するものを抜粋)
事故報告
第3条
電気事業者(法第三十八条第四項各号に掲げる事業を営む者に限る。以下この条において同じ。)又は自家用電気工作物を設置する者は、電気事業者にあつては電気事業の用に供する電気工作物(原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して、自家用電気工作物を設置する者にあつては自家用電気工作物(鉄道営業法 (明治三十三年法律第六十五号)、軌道法 (大正十年法律第七十六号)又は鉄道事業法 (昭和六十一年法律第九十二号)が適用され又は準用される自家用電気工作物であつて、発電所、変電所又は送電線路(電気鉄道の専用敷地内に設置されるものを除く。)に属するもの(変電所の直流き電側設備又は交流き電側設備を除く。)以外のもの及び原子力発電工作物を除く。 以下この項において同じ。)に関して、次の表の事故の欄に掲げる事故が発生したときは、それぞれ同表の報告先の欄に掲げる者に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の欄に掲げる者が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。
- 一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に治療のため入院した場合に限る。)
- 二 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。ただし、前号及び次号から第五号までに掲げるものを除く。)
- - 中 略 -
- 十一 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧三千ボルト以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故
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前項の規定による報告は、事故の発生を知った時から二十四時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して三十日以内に様式第十一の報告書を提出して行わなければならない。ただし、前項の表第四号ハに掲げるもの又は同表第七号から第十二号に掲げるもののうち当該事故の原因が自然現象であるものについては、様式第十一の報告書の提出を要しない。
電気火災事故
平成16年4月に電気関係報告規則が改正され、報告対象が「工作物にあっては、その半焼以上の場合に限る。」となったため、平成16年以降、北海道管内で報告された事故は平成19年度に発生した1件のみとなっています。
しかし、札幌市消防局によると平成26年に発生した火災件数545件のうち、電気配線、電気機器、電気装置、配線器具など電気に起因すると思われる火災が68 件(12.5%)発生しています。(№440)2015年「でんき保安」盛夏号参照。
電気の利用が始まってまもない明治24年、第1回仮議事堂(現在の国会議事堂)が漏電火災で焼失したことが大きな社会問題となり保安規制の キッカケになったとされています。現在の電気設備は、当時とは比較にならないほど安全性の高いものとなっていますが、電気に起因する火災は少なからず発生 しており、日ごろから電気設備を適切に管理することが重要となります。
■第1回仮議事堂(現在の国会議事堂)で発生した漏電火災について■
参議院のホームページの一部を転載し紹介します。(「参議院事務局」から)
第1回仮議事堂全景
(「帝国議会議事堂建築報告書」から)
明治23年(1890年)11月24日(第1回帝国議会召集の前日)竣功。木造洋風2階建て。同年11月29日に貴族院議場において開院式が行われ、我が国最初の議会である第1回帝国議会が開会しました。しかし、翌24年(1891年)1月20日未明、突如出火し数時間で焼失してしまいました。原因は漏電と言われています。議会開会中のため、貴族院は華族会館(旧鹿鳴館)、衆議院は東京女学館(旧工部大学校)に議場を移しました。貴族院はのちに華族会館が手狭なため帝国ホテルに移転しました。
明治24年1月20日、鹿鳴館で開かれた貴族院 第一回通常会 議事速記録号外にその時の様子が記録されていますので併せて紹介します。(国立国会図書館ウェブサイトから)
電気事故事例(未然防止事例)
- 高圧ケーブルの破損にご注意!!
- 蓄電池設備の老朽化にご注意を!!
- ケーブルの老朽化にご注意を!!
- 電気設備の過負荷にご注意を!!
- 開閉器の老朽化にご注意を!
- 機器の電源周波数にご注意を!
- トラッキング現象にご注意を!
- 浸水にご注意を!
- 配線の変色にご注意を!!
- 足場の設置にはご注意を!!
- 電柱まわりの草木にご注意を!!
- 絶縁抵抗測定に異常はなくても
- ケーブル端末の損傷にご注意を!!
- コンセントに異変を感じたらご注意を!!
- 北海道の冬は屋外設備の冠雪にご注意を!!
- 断線・損傷の原因は使用している部材や施工方法に・・・!!
- 外観も絶縁抵抗測定も異常なし・・・停電の原因は前日の◯!?
- キュービクルの中から微かな異臭が!?
- 天井内板の崩落を発見!!迅速な対応で電気火災を未然に防止!!
- 高圧ケーブルから異常な漏れ電流・・・
- 古い集合住宅に潜む危険な劣化・・・
- ゴミが落ちていると思ったら・・・
- お客さまが感じていた“焦げ臭さ”の原因を発見!!
- 分電盤内がスズメの巣になっていた!?早期発見で事故を未然に防止
- 金属ボックスの底がなくなっている!?
- キュービクルが少しずつ傾いてきてる!?
- 端子台が青白く変色!?早期改修で電化製品の故障を防止!!
- 電柱の即時改修で倒壊による停電を防止!
- 屋側配線脱落による欠相事故を未然に防止!
- 動力盤の赤相温度が85℃に!?過熱の発見で火災を未然に防止!!
- 屋外VVFケーブルにひび割れ!!早期発見で停電を未然に防止(一般家庭)
- 変圧器に汚れ…と思いきや穴が!! 絶縁油の漏れ発見で、事故を未然に防止!(トンネル)
- 漏れ電流値が基準値越え!! 引込線の黒焦げを発見(一般住宅)
- キュービクル内から異音!!電流計切替器の焼損を発見!(工場)
- 引込み線が屋根の鉄板に接触!!早期対応で漏電・感電事故を未然に防止!(一般住宅)
- 樹木が高圧配電線に倒れこんでいる!早期対応で停電・高圧事故を未然に防止!(霊園)
- 引込口でCVケーブルの充電部露出 短絡事故のおそれあり(一般住宅)
- キュービクルから「チリチリ・・・」?ブレーカー内部の発熱を発見(ビル)
- 古い集合住宅にカバー無しのナイフスイッチを発見、電気事故に注意(一般住宅)
- 開閉器の底部に錆を発見、停電事故を未然に防止(学校)
- ヒューズタイプの配電函内部で焼損を発見(一般家庭)
- 変圧器の発熱を発見、停電事故を未然に防止(商店)
- 延長コードをドアで挟んだ事による被覆損傷、充電部露出(一般家庭)
- 非常用発電機エンジン損傷を未然に防止(事務所)
- 感電事故を未然に防止(一般住宅)
- 電気火災・感電を未然に防止(事務所)
- 電気火災を未然に防止(集合住宅)
- 地絡事故(停電)を未然に防止(牧場)
- 停電・感電事故を未然に防止(一般家庭/空き家)
- 地絡事故を未然に防止(工場)
- 感電事故を未然に防止(一般家庭/アパート)
電気事故事例
- 仮給電用コンセントのケーブル接続中に誤ってアークを発生させて負傷
- 破損したキュービクルの扉を開けようとした際に外れたロック棒がLBSに接触し感電負傷
- 飛来物が高圧気中開閉器のブッシングに接触して波及事故
- 高圧引込ケーブルが経年劣化により絶縁破壊し波及事故
- 電気室の浸水によりVCBの充電部で短絡し波及事故
- デジタルカメラで変圧器碍子を撮影しようとして接触、感電
- 火災により引込用高圧ケーブルが焼損し波及事故
- 高圧気中開閉器の電源側ブッシングが破損して地絡
- 高圧気中開閉器ハンドル軸貫通部の気密不良により水分が浸入し地絡
- 高圧気中開閉器の電源側ブッシングが破損して地絡
- キュービクル内で作業中に高圧ケーブル端末部に接触し感電死亡
- 高圧気中開閉器の電源側碍子の亀裂から雨水が浸入し地絡
- 高圧引き込みケーブルの端末部が自然劣化により絶縁破壊
- 雷サージが原因で高圧気中開閉器内部の絶縁が劣化し地絡・短絡
- LBSに短絡接地器具を取り付けたまま復電させ波及事故
- ホイストクレーン操作スイッチの修理中に充電部に接触して感電
- テスタで受電キュービクルの断路器電圧を測定しようとして感電
- 予備回路の停電作業中に誤って受電中の常用回線に接触して感電
- 誘導雷により高圧ガス開閉器内部の機器が絶縁破壊して地絡
- 避雷器破損のまま高圧気中開閉器を投入して波及事故
- 雪により保護継電器用の電源線が損傷・短絡し波及事故