事業者のみなさま
安全を確保するためのしくみ
電力会社の配電線から高圧(6,600V)の電気を構内に引き込み、受電設備を介して使用する自家用電気工作物は複雑で危険度が高く、適切に管理しなければ、感電、火災、波及事故が発生するリスクがあります。
このため、電気事業法では、自家用電気工作物の保安確保は、自己責任を基本とし、“自主保安体制”を確立するため“電気主任技術者”の選任を求めています。
一方、平成16年1月に、“電気主任技術者”の雇用が困難な事業者に配慮した「不選任承認制度」が改められ、電気設備の保安管理業務を一定の要件を満たす電気保安法人などに委託する契約を締結し国の承認を受けることにより電気主任技術者を選任しないことができる「外部委託承認制度」がスタートしました。
なお、電気工事士法及び電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)はご家庭の電気設備(一般用電気工作物)の安全を守るしくみの一つでしたが、昭和62年に最大電力500kW未満の需要設備(自家用電気工作物)も規制対象とする改正が行われました。
自主保安体制について
電気事業法では、事務所ビルや工場など高圧で受電する需要設備や一定出力以上の発電設備など「自家用電気工作物」に該当するものについては、自己責任を基本とし、“自主保安体制”を確立し保安を確保することを求めています。具体的には、自家用電気工作物の安全を確保するため、設置者に対し以下のことを義務付けています。
- 事業用電気工作物の維持/技術基準適合維持(法第39条)
- 保安規程の制定、届出及び遵守(法第42条)
- 主任技術者の選任及び届出(法第43条)
このうち、2及び3は電気事業法に基づき、国への手続き等が必要となります。
手続きの詳細は、北海道産業保安監督部のホームページをご覧ください。
- 参考
- 北海道産業保安監督部
主任技術者制度について
“自主保安体制”の中核となるのが「電気主任技術者」ですが、その選任方法には次の3つがあります。
選任
自家用電気工作物の設置者は、電気事業法に基づき自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、電気主任技術者免状の交付を受けている者を電気主任技術者に選任しなければなりません。
許可・兼任
500kW未満の自家用電気工作物の場合、北海道産業保安監督部長の許可を受ければ電気主任技術者免状を受けていない者でも、電気主任技術者として選任することができます。
また、特定の条件を満たし北海道産業保安監督部長の承認を受けた場合は、2箇所以上の自家用電気工作物の電気主任技術者を兼任することができます。
許可および承認の要件は、「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」3をご参照ください。
いずれも、電気主任技術者の立場はその職務を遂行するに当たって、必要な権限が附与されていることが重要となります。
外部委託
電気主任技術者免状の交付を受けている技術者の雇用が困難な設置者に配慮し、「保安管理業務外部委託承認制度」があります。この制度は、お客さまが電気設備の保安管理業務(工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務)を一定の要件を満たす電気保安法人などに委託する契約を締結し、保安上支障がないとして所轄の産業保安監督部長の承認を受けることにより電気主任技術者を選任しないことができるというものです。
高圧で受電する需要設備及び2,000kW未満の発電所に限られた制度ですが、北海道においては、自家用電気工作物の85%がこの制度を利用しています。
なお、保安管理業務を電気保安法人に委託する場合、設置者は、電気保安法人が保安管理業務を遂行するためのマネジメントシステムを構築し電気事業法に基づき的確に保安管理業務が行えることを確認する必要があります。